現在 F3B 世界選手権において2連覇中のスイス・アンドレアス・ボーレン選手が使用している機体で、 F3B 競技の世界ではもっとも有名な機体のひとつです。
ドイツの「 Aer-O-Tech 」社より発売されています。
機体平面形の設計はユーロモデル・「エスケープ」の設計などで知られるドイツの「 Stefan Eder 」氏、重要な翼型を設計したのは「 Max Steidle 」氏で2004年11月に完成しています。
この機体は2分割の主翼と標準形式の水平尾翼を持った構造の機体ですが、最新の翼型・平面形デザインを取り入れ、それを高品質カーボン材料等を使用して製作されています。
まず翼型ですがメーカー発表によれば「 M 1783」というタイプです。これはキャンバーが1.7パーセント、翼厚が8.3パーセントという意味ですが詳細な翼型座標は公開されていません。非常に重要なオリジナル翼型データを公開しないトップレベルの機体が増えています。
最近のトレンドとして、曳航での獲得高度と速度・距離性能を向上させることを優先し、滞空性能に関しては軽量化によってその目的を達成しようと考えています。翼型自体に揚力を求めなくなっています。
クロスファイアーはスパン3100mm、主翼面積59.58du、標準的な完成飛行重量が2100gとなっており、実際にメカ積みを完了した機体では軽いもので2060g、重くても2160gという話を聞いています。搭載するメカの種類などにより完成重量が変わってきますがほぼメーカーの発表通りに完成します。
強度を確保しながら標準尾翼形式のこの機体の飛行重量を2100g程度に抑えるのはメーカーの極めて高度な製作テクニック・高品質材料の選択が必要で、数ある市販模型グライダーのなかから世界中のトップパイロットがこの機体を選択するだけの理由があります。世界的には同じような平面形のグライダーはかなり発売されるようになりましたが重量的に一割程度重いとか、同じ重量の場合は剛性感がない、結果的に操縦にリニア感が無いものが多いようです。競技機としては断然人気があり、およそ1年間で300機以上が販売された実績を持っています。
先日埼玉県・上里で行われた F3B 機による速度記録会には関東一円から30名ほどの参加者がありましたが実にその半数がこのクロスファイアーを使用するという人気振りです。
クロスファイアーの特徴は一言で言えば、曳航獲得高度の高さ、速度競技でのアドバンテージ・距離競技での滑空比の高さです。
曳航では標準尾翼のお陰で手投げ直後の対気速度が低い時でもピッチ方向の安定が高く、曳航後半では少ないキャンバーを生かし離脱〜上昇過程において今までの F3B 機と比較して明らかに速度性能向上が見られます。
そして滞空性能が思ったよりも悪くない、というのが多数のパイロットから選ばれる理由でもあると考えられます。フライングテール仕様の尾翼のためか、滞空時の速度コントロールが容易で、多少失速気味に飛ばしていても想像以上にピッチ方向の安定感があります。
特筆すべき点は競技機に見られる調整の煩雑さが少ないということです。
具体的には、競技種目ごとの主翼キャンバー調整がほとんど必要なく、曳航と着陸を除けば、滞空・距離・速度の3種目において主翼キャンバーの調整幅は上下1mm程度の範囲でほとんど間に合ってしまいます。
(機体によっては調整幅が上下各3mm、などという場合があり、良いポイントがなかなか見つからず苦労するものがあります。)
機体はほぼ完成形でデリバリーされます。
主翼・尾翼・胴体は特別な追加加工を必要としません。
胴体には可動式の曳航フックが取り付け済みで指定重心を中心に前10mm程度、後側5mm程度の調整が可能です。それにより、多少の重心位置の好みが基本指定位置からズレても十分対応可能な状態であるといえます。メーカー指定重心位置である主翼前縁から96mmにセットすれば、ほぼすべての方が満足のいくフライトを楽しめるでしょう。
ラダーのリンケージは終了しています。
オールフライング形式の尾翼はリンケージ済み、尾翼用カーボンカンザシを差し込んで駆動用のピアノ線をボールリンクに通してセットすれば完成します。
主翼は4個のサーボをエポキシ接着剤で固定しますが、サーボ取付けガイドとなる木枠が4個付属します。フラップ用に JR さんから発売の DS 362、エルロン用にはスペースの問題で DS 161などを使用すると良いでしょう。ただし多少サーボのケースを削ってでもエルロンには DS 362をセットしたほうがこのクロスファイアーには安心かもしれません。
ケーブルセットおよび主翼と胴体をつなぐコネクターはすべて付属していますし、サーボからフラップ・エルロンにリンケージするロッドも4本付属していますので小物を追加購入する必要がありません。
また、主翼内に積み込む真鍮製のバラストも標準で付属します。このあたりはとても親切なセットになっています。1個80gの真鍮製バラストが合計10個、合計800g付属しています。
カーボンカンザシは現在改良され、中空構造で更なる軽量化が図られています。上半角については一段上半角でメーカー標準では5度の仕様なのですが、6度も選ぶことが出来ます。滞空時の旋回性能が多少なりとも向上すると期待されます。
またこの機体のトレードマークである大胆な塗装デザインはメーカーのこだわりで、数種類の配色パターンは準備されていますが塗りわけパターンはメーカー指定に従わなければなりません。
このあたりは頑固なドイツ人のこだわりだとご勘弁ください。 |